「もう会社に行きたくない。でも、まだ働かないと不安。」
タクシーの運転席から、そんな言葉を何度も聞いてきました。僕の乗せたお客様の中には、まさに“セミリタイア世代”の独身女性も多くいらっしゃいます。
53歳でサラリーマンを辞めた僕から見ても、彼女たちは本当にたくましい。お金や老後の不安を抱えながらも、どこか清々しい表情で生きているのが印象的です。
セミリタイアを選ぶ50代女性が増えている理由
銀行員時代は、女性の顧客の多くが「安定」を最優先にしていました。ところが最近では、「もう無理して働きたくない」「ひとりの時間を楽しみたい」と言う方が増えています。
特に50代独身女性の方々にとって、セミリタイアは“自由に生き直す”ための選択肢になっているようです。背景には、次のような理由があります。
- 人生100年時代、60歳以降も働き方を自分で選びたい
- 子育て・介護などの制約がなく、時間の自由度が高い
- コロナ禍で「会社に依存するリスク」を痛感した
- 独身だからこそ、自分の幸せを自分でデザインできる
つまり、“逃げるため”ではなく、“自分の時間を取り戻すため”にセミリタイアを選ぶ女性が増えているのです。
セミリタイア女性たちのリアルな暮らし方
僕の周りでも、セミリタイアを実現している50代独身女性は意外と多いです。彼女たちの共通点は「収入源の多様化」と「生活コストの最適化」。
1. 小さな収入源を複数持つ
たとえば、週2〜3日だけパート勤務をしながら、投資信託や株式の配当、不動産の家賃収入で生活している方もいます。完全なリタイアではなく、“半リタイア”です。
また、趣味の延長でブログやハンドメイド販売を始める方も多く、月数万円でも「自分で稼ぐ喜び」を感じているそうです。
2. 生活コストを下げて“軽やかに生きる”
セミリタイアを楽しんでいる女性の特徴は、「お金を使わなくても幸せを感じられる」こと。
郊外に引っ越して家賃を抑えたり、カフェ代わりに図書館や公園で過ごしたり、旅行もLCCで楽しむ。
贅沢を手放して“心の余白”を増やしているのです。
彼女たちは口をそろえてこう言います。
「働いていた頃より、今のほうが笑ってる時間が多い」
お金のリアル──セミリタイアに必要な資金は?
銀行員として長年お金を見てきた僕の感覚では、50代独身女性がセミリタイアを考える際の基準はおおよそこうです。
- 貯金+投資資産で2000万〜3000万円が目安
- 住居を持っている場合は生活費月10万〜15万円で可能
- 年金受給までのつなぎは副収入やパートで補う
特に重要なのは「生活コストを理解すること」。
多くの方は「お金が足りない」と思い込みますが、実際は“使い方”を変えることで現実的になります。
セミリタイアとは、贅沢をやめることではなく、「自分に必要な豊かさを知ること」なんです。
孤独との向き合い方──「ひとり」を恐れない
独身女性のセミリタイアにおいて、最も大きな壁は「孤独」かもしれません。
でも、タクシーで出会った女性たちは、むしろ“ひとりを選んでいる”ように見えました。
彼女たちはこう話します。
「誰かと一緒にいないと不安だったけど、今は自分の時間が楽しい」
「朝の光を浴びてコーヒーを飲むだけで満たされる」
孤独は悪ではありません。
むしろ、他人に左右されない“静かな幸福”を見つけるチャンスです。
元銀行員の僕が見た“自由を生きる女性たち”
セミリタイアしても「働くこと」を完全に捨てているわけではありません。
彼女たちは必要な分だけ働き、余った時間で“好きなこと”をしています。
絵を描く人、カフェを巡る人、保護猫活動をする人。
彼女たちに共通しているのは、“誰かに評価されるためではなく、自分のために生きている”という姿勢です。
お金のためではなく、自分の心を満たすために働く。
この「働き方の再定義」こそ、セミリタイアの本質ではないでしょうか。
まとめ:セミリタイアは“自由のリテラシー”
50代独身女性のセミリタイアは、決して夢物語ではありません。
むしろ、情報と覚悟があれば誰でも到達できる「人生の選択肢」です。
経済的自由とは、貯金の多さではなく「お金の不安に支配されない心」を持つこと。
精神的自由とは、他人の価値観ではなく「自分の幸せ」を基準に生きること。
それを実現しているのが、今をしなやかに生きる“50代セミリタイア女性たち”です。
彼女たちの笑顔を見て、僕はいつもこう思います。
「自由って、年齢でも性別でもなく、心の持ち方なんだな」と。

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