FIREやめとけ」は本当だった?早期退職で後悔した人に共通する5つの罠

「FIRE(Financial Independence, Retire Early)」──“経済的自立を果たして早期退職する”というライフスタイルは、魅力的に映ります。しかし、実際にそれを選んで「やめとけばよかった」と感じる人も少なくありません。今回は「早期退職で後悔した人に共通する5つの罠」を整理します。


1.想定以上に高い「必要資金」

多くのFIRE成功ストーリーでは「年間支出× 25=必要資産」とされる「4%ルール」が紹介されます。
しかし、現実には…

  • 年間支出が多めなら資産額は億円レベルになる。
  • 日本では40代で金融資産3000万円以上という世帯の割合が決して高くない。
    結果として「目標資産額を甘く見ていた」「思ったより準備できていなかった」という後悔につながります。

対策ヒント

  • 今の生活費を細かく把握し、「何のために」「いくらあれば」辞められるのかを明確にする。
  • 余裕を見て「+α」の資金を確保しておく(突発的支出、インフレ、運用低迷などを計算に入れて)。
  • 「完全退職」ではなく、部分的な働き方(セミリタイア/サイドFIRE)も視野に。

2.運用収益が「安定して4%」を達成できないリスク

FIREプランを立てる際、多くのモデルで「毎年資産の4%を取り崩して生活する」「元本を減らさず運用し続ける」という前提が使われます。
しかし現実には:

  • 投資市場は年によって大きく変動し、4%を毎年確保できる保証はない。
  • 退職直後に市場が暴落することで、元本も減ってしまい、予定していた取り崩しができなくなる事例あり。

対策ヒント

  • 運用は「想定どおり進まない」ことも前提にシミュレーションする。例えば、年率3%・5年に一度大きな下落あり、等。
  • 生活費を取り崩す際の「最低ライン」を設定しておく:例えば「資産が○%減ったら支出を△%削る」と決めておく。
  • 投資を多様化し、リスク資産だけに頼らず、現金や債券、不動産なども一部組み込む。

3.想定外のライフイベント・支出が資金を圧迫

退職後の生活では、「想定外」の出来事が資金計画を狂わせることが多く、これが後悔につながる罠です。具体的には:

  • 病気・怪我・介護による医療費や生活支援の必要性。
  • 子どもの教育費、住宅リフォーム、災害対応、趣味・旅行費の増加。
  • 社会保険・税金の負担が予想以上に大きい。例えば退職後、会社員時代と違って扶養・保険料・年金負担が変わるケースあり。

対策ヒント

  • 退職後5〜10年を“安心バッファ期間”と見て余裕を持った資金設計を。
  • 「最低限維持すべき生活費」と「ややゆとりある生活費」の二段構えで計算。
  • ライフイベント(子どもの進学、住み替え、介護リスク)を事前に洗い出して「これが起きたらどうするか」をプランに入れておく。

4.社会的なつながり・アイデンティティ喪失/キャリア復帰の困難

「自由になる」「働かなくていい」という魅力の裏で、意外に見落とされがちなのが「仕事を通じた社会とのつながり」「自己実現・役割の喪失」です。さらに、再就職が難しくなるリスクもあります。

  • 長期間の就労空白は、再び働こうと思った時にハードルになる可能性あり。
  • 「何のために働くのか」「働かないことの自分の価値」は想像以上に大きな問い。働いていたときの役割を失って虚無感を感じる人も。
  • 働く仲間・居場所が消えることで、孤立感や生活に目的を見失うケースあり。

対策ヒント

  • 退職前に「何をして生きていきたいか」「自分にとって働く意味は何か」を整理しておく。
  • 退職後の「働き方(フルタイムではないけど)」や「社会参加・趣味・ボランティア」など、活動の場を確保しておく。
  • キャリア復帰を「ゼロから」ではなく、「何らかの形で働き続ける(顧問・契約・副業)」という選択肢も考慮。

5.働かないこと/収入がゼロになることで生じる精神的・時間的ギャップ

退職して自由な時間を得たはずが、逆に「時間を持て余す」「やることが見つからない」「活力が落ちる」という罠も多いです。

  • 「仕事=時間を埋める・社会と関わる・評価をもらう」という構造を失うと、日常のリズムが崩れがち。
  • 毎日の予定がなくなることで、逆にストレスや焦りを感じる人も。
  • 加えて、収入を自分でコントロールできない状態になると「お金のことがいつも頭にある」ようになり、自由のはずが逆にプレッシャーになる。

対策ヒント

  • 退職後の「1日の過ごし方・週のルーティン」を計画しておく。趣味・学び・運動・人との交流などを組み込む。
  • 小さくても「自分の役割」を持てる活動を探しておく。例えば地域活動・趣味の教室・副業など。
  • 金銭面だけでなく「時間の使い方」「精神的な満足感」も含めたライフプランを持つ。

総まとめ:「やめとけ」という声は“無条件に否定”ではなく「甘く見たら危険」という警鐘

「FIREはやめとけ」という言説は、決して「FIREそのものが悪い」というわけではありません。実際、経済的自立を目指すこと自体には意義があります。
むしろ、問題なのは「準備不足」「幻想を抱いたまま突っ込む」ことです。以下のように整理できます:

  • ✅ 経済的基盤を築き、「働き方を自由に選べる」状態を目指すことは有効。
  • ❗ ただし、上記5つの罠を意識して、リアルにリスクを見据えた上でプランを立てる必要があります。
  • ⚠️ 完全リタイアだけがFIREではなく、段階的なリタイア(セミリタイア/サイドFIRE)など、自分や家族の状況に合った選択肢を持つことが現実的です。

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